先週ご来店いただいたM様との会話の中で、感じたことを今日はここに書き留めたいと思います。

先日、アリュールにお越しくださったお客様との会話が、
私の心にとても深く残りました。

M様は、数年前から
シャネルのクラシックバッグをずっと想い続けていらっしゃいます。

ここ数年で価格は驚くほど上がり、
今や簡単に手が出せる存在ではありません。
(ものすごいお値段。お車が買えるほど!この5年で以前の2倍に上がったと思います)


それでも何度もシャネルのショップに足を運び、
迷い、考え、スタッフの方からシャネルの歴史や物語を聞きながら、
「いつかはきっと買うと思うんです」と、私に話してくれたんです。

印象的だったのは、
今、迷われている時間が楽しそうだと感じたこと。
M様の表情が、本当に生き生きしていて、素敵でした。

また、価格のことだけではなく、
今の自分は、このシャネルにふさわしいだろうか?
このバッグを迎え入れる覚悟はできているだろうか?
そんな問いを、自分自身に投げかけながら過ごす時間そのものを、
とても大切にされていたんですよね。

そしてシャネルには
「媚びない甘さ」「自立した女性の美しさ」があると
M様と深く共感し合いました。

実は私は、シャネルのバッグをいくつか持っています。
お金ありますね、と声が上がりそうですが、はい、当時はめちゃくちゃ働いたので
たしかにお金がありました。
軽く今の2倍から3倍以上。
当時住民票をおいていた市で女性の所得で2位になったほどです。
収入の高さを語ることで、すごいことのように語りましたが、これは決して自慢話ではありません。
なんなら、苦労話です。

というのも、高額所得と引き換えに得たのは、全ての時間を仕事に注ぐのみであったこと。

巷のキラキラは私にはありません。
周りは華やかに、合コン言ったり、友人と遊びに行ったり忙しい20代を楽しんでいましたが
私はと言うと、誰よりも働いてきた経験のみです。
家に帰れるのは数カ月に一度の時もありましたし、毎日終電は当たり前。
帰宅後も夜中の2時くらいまで仕事。
プライベートは皆無。
結婚前に当時、今の夫と10年以上お付き合いしていましたが、遊びに行ったこともありません。
そのくらい、仕事命!
結果、体を壊したほど働きました。
今から30年ほど前。

書き始めると当時の記憶が出てきました。
今となっては面白い話ですが、
出張中に宿泊したビジネスホテルがなかなかのすごさでした。

会社から宿泊費として、7,000円か8,000円ほど経費が出るのですが、
その金額ですと、人によっては満足のいくクラスのホテルには泊まれません。
(お風呂事情や清潔感あるベッドは譲れないのでしょう)
社員によっては、自腹で費用を足してでも満足のいくホテルに宿泊していたのですが、
私は3,000円のお風呂なし、トイレ共同に宿泊していたこともあります。
漫画喫茶での宿泊もざらにありました。

なんで?とお思いになりますよね?
当時はネット予約がなかったので、電話予約が基本でした。
しかし、私の頭は常に仕事しか頭にないため、先の予定に合わせて、
早めにホテルに電話をして、予約確保をするということが出来ないのです。

そうすると、気が付けば当日を迎えており、ゴールデンウイークの時には、
都内や、人気観光地は全滅。
予約は取れません。

空いている所と行ったら、おじさんが泊まるような場所しか空いていません。
仕方がなく、泊ってましたが、今思えば面白い所でした。
たしか、亀戸か、錦糸町、いや両国だった気がしますが、
1階の入りには口は管理人のような人が一人いて、
宿泊者は全員2階に階段で上がるのです。(自宅みたいな感じ)
カギは簡単なもので、ドアノブを内側から回すだけ。


音は全部筒抜けのため、、おじさんたちのせき込みや痰を出す音やら(汚くてすみません)
全部、聞こえるのです。
特に憂鬱だったのがトイレで出くわすこと。
しかし、嫌と思いながらも、自分で事前に宿泊予約をする手間をしないわけですから
自己責任以外、何ものでもありません。


ただ、かなり頻繁だったせいか、領収書を見た(3,000円の)本部の方から連絡が来まして、
「きちんとした安全なホテルに宿泊してください」と注意を受けました。
しかし、それでも私が同じような場所で宿泊してしまうので、ついには、
会社がマンションを手配してくれて、そこに泊まるようになりました。

そのくらい、自分の時間がありませんでした。
お客様や、同僚のブライダルエステを見守りながらも、
自分の結婚式の時にはブライダルエステを受けたこともなければ、
メイクリハーサルの時間さえ惜しんで参加しませんでした。
(挙式当日、とんでもないほどおばさんの濃いメイクに仕上がりましたが、これもまた文句は言えません。
自分でリハーサルをパスしたのですから)

そんな全力時間を過ごす中で、当時若かった私は
「仕事を頑張ったから!」
「シャネルは素敵だから!」
そんな勢いのある理由で手にしたんですよね。

今振り返ると、理由はシャネルの見た目が素敵!と言う思いだけで、
若さゆえの浅はかさだったと思います。

(↑こうなりたかった!)

でも、その頃の自分が
精一杯頑張って、頑張って、自分を認めてあげた証なんですよね。
だからこそ、今でもそのシャネルたちがよりいっそう大事に感じられます。

そして今回、Mさまのお話を聞いて、私はとても心が動きました!

若かった時の思い、素敵だから手にしたい!ではなく、
ガブリエルシャネルの、自分自身を生き抜いた人生に憧れるからこそ、
その世界に近づきたいと、M様とお話する中で感じたんです。

「未来の自分と、時間を重ねるシャネルを迎えたい」

ココ・シャネルには有名な言葉があります。

「20歳の顔は自然の贈り物」
「50歳の顔はあなたの功績」

「年齢=劣化ではない」
「積み重ね=美しさ」という思想が私は大好きですし、アリュールが一番こだわる思いです。

年月を重ねて失うのではなく、積み上げてきた自信は、絶対に女性をきれいにする!
と断言できるからこそ、シャネルの言葉に心が動きます。

簡単には手が届きません。
でも、いつか迎え入れる日までの時間も含めて、
人生の一部として大切に楽しみたい!
そう思えた自分自身の変化が、とても嬉しく、またこの会話をきっかけに、
アリュールの存在意義、アリュールで大切にしている想いを
はっきりと感じました。

アリュールは
肩書や、収入や、表面的な成功を
大切にしている場所ではありません。

私が心から大切にしたいのは、

「自分の人生を、大切に味わいたい人」
「自分の時間と身体を、雑に扱わない人」

そういう思いを持っている女性のサポートをさせていただきたいのだと。

私は、アリュールに通ってくださる顧客様の時間も、費用も、覚悟も、
すべてが尊いものだと思っています。

だからこそ、私はこの仕事に
幸せの覚悟と、責任を感じています。
責任は、自分に強い力を与えてくれます。

アリュールは、
ずっと通い続けなければいけない場所ではありません。

通うことが短くても、長くても
「自分を大切にしていた時間」として、みなさんの心にわずかでも、残していただければ
本当にありがたいです。

そんな思いを感じるきっかけを、M様との会話の中で気付かせていただきました。

価値ある時間のご提供を精一杯させていただきたいと。

忙しくなったとき、
立ち止まったとき、
ふと鏡を見たとき、

「あの頃の私は、ちゃんと自分を大切にしていた」
そう思い出してもらえたら、
それだけで、この仕事をしてきた意味があります。

アリュールは、「年齢=衰え」だとは考えていません。
若さに固執して、マイナスを隠したり、無理に若作りするのではなく
積み重ねた時間を美しさに変えるご提供を、これからもさせていただきます。

お読みいただきありがとうございました。